久しぶりに神戸に来た。IPOを目指すベンチャー企業とそれを支援する神戸市、大学の関係者、ベンチャーキャピタリストが集まって意見交換を行うセミナーが神戸で開催され、それに参加するためである。
セミナー修了後の懇親会では、IPOを行うために今後何が必要か、参加企業同士のビジネス連携はできないか、など、かなり活発な意見交換や名刺交換が行われ、成功裡にセミナーは終了した。
神戸市は、ご存じのとおり阪神大震災で壊滅的な打撃を受けた。阪神大震災以降、想像を超えるスピードで都市インフラは復活を遂げているが、阪神大震災以前の「株式会社神戸市」と言われていた経済の活発さは取り戻せていない。やはり、阪神大震災の傷が厳然と残っているからだろうか。そのため、神戸市では経済の復興の一貫として、ベンチャー企業支援にかなり力を入れている。
経済成長には、活発な新規創業やイノベーションが重要であることは言うまでもない。神戸市も新規創業やベンチャー企業のIPO支援などを通して、元気な神戸市の復活を目指している。神戸市に限らずどの自治体も取り組んでいるテーマである。
しかし、IPOは別にして新規創業だけに着目すると、開業率が廃業率を下回っている現状では日本の将来は明るくないような気がする。政府も自治体も大学も、様々な機関が努力しているにもかかわらず、その現状から脱却できていない。
なぜ、そのような状況が続くのだろう。セミナーの帰り道に、ktsを創業して7年目に入った自分の置かれている環境から考えてみた。ktsは政府や自治体、大学などの支援を受けたことがない。受けたことがないというより、受けずに努力して行こうという気概でやってきた。
新規創業だけに限らず、中小企業支援施策は3,000施策ぐらいあると言われているが、その支援施策をあてにして自助努力を怠ってしまえば、どの機関が頑張ったとしても開廃業率の逆転現象の解消はあり得ない。企業はやはり自分自身で努力することが最大の戦略なのではないだろうか。支援施策は、おまけみたいなものと考えておかなければ、厳しい環境の中、淘汰されるだけである。
企業の自助努力の重要性を再認識した神戸の夜だった。 |